マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー 真珠とダイヤモンド

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら。


わたくしね、本を読むのが大好きで、常に何かを読んでいるのですが、ちょっと印象的な本に出合って。
桐野夏生 「真珠とダイヤモンド」(上)(下)


真珠とダイヤモンドは、主人公の女性ふたりを象徴する宝石で、
かつ、舞台となったバブル時代の象徴としてつかわれているの。


もしお読みになるのなら、結末はとても「むなしい」ということだけ申し上げておくわ。
ヘルマンヘッセの「車輪の下」並みにむなしい・・・


時はバブル。この主人公ふたりは、1986年に証券会社に新入社員として入社しました。
そう、私が新入社員として外資系証券に入社したのが1996年。
そのちょうど10年前のお話です。


つまり、わたくしが新入社員として入社したときには、バブルはとっくに崩壊していて。そして、バブル時代の反省からか、いろいろ法律も厳しくなって、この本に出てくるような裏社会との取引や、違法行為なんかは全く行う余地もなくなっていたの。
だから、私の体験とは重ならないはず。


でもね、私の新入社員時代は、まだバブルの残り香が、そことなくただよっていたような気がするわ。


それだからこそ、この「真珠とダイヤモンド」を読んで、ノスタルジックな気持ちになったのよね。


売り上げ、収益至上主義なのはこの本でも、私の新人時代も一緒。
トップセールスは、パワハラをしても、セクハラをしても咎められず、武勇伝になっていました。


カリスマ営業部長(私の上司の上司)は、各営業マンの一年間の「使った接待費」「儲けた金額」をグラフに点でプロットしてね。


全営業マンをあつめて、その各営業マンの「使った接待費」と「儲けた金額」をプロットしたグラフに、しゃっと右肩あがりの直線をひいて。


「いいか、これをよくみろ。去年、接待費を使ったヤツほど、儲けている。おまえたち、もっと接待費を使え!
1億円つかっていいぞ。そして、100億円もうけてこい!」
と檄を飛ばしたの。
新人のわたしは恐れおののいたわ・・・
そのときのグラフがいまだに、脳裏に浮かびます。


その部長は、「いいか、キーワードは「客は金銭苦」。おぼえておけ。客に甘い汁をすわせろ」
と続けたわ・・・。


わたくし女性だし、お客様をキャバクラにつれていくわけにもいかないし、逆に変なセクハラをうけないよう、お客さんとサシで酒席を共にしてはいけないとか、別方向からの指導もはいって、なんだか身動きがとれなくて、とっても苦しかった覚えがあります。


同期の男子たちも、接待いれようとしても、そんな役に立たない若者に、お客様もお時間を使ってくださらなくて・・・
みんな苦労したの。


そんな、稼げない私たち同期新人、「有給休暇」もなかったのよ。
いまだったら、つかまるわねえ・・・・


1年目、つまり1996年の夏。
私たちは、ようやく研修とローテーションを終えたころ。
大きな表が回ってきたのよ。
「夏休み」とかかれたね。


当時はまだ、エクセルが普及してなくて(!)、ぎりぎりロータス123の時代よ。
だから?秘書さんが「横に夏の日付、縦に営業マンの名前」を書いた、大きな表を作ってくれて、それに、「お休みをとりたい日」をみんなが蛍光マーカーでぬりつぶしていくの。


もちろん、位が上の、上司たちから記入します。
下にいけばいくほど、上司の休みが記入済みなので、「忖度」して、重ならないよう、もしくは重なるように夏休みをとることになっていた。


でもね、その表に私たちの名前はなかったの。


メンターの先輩(30歳くらい?)からは、一言、
「稼がざる者、休むべからず」
と言われたわ。


20代なかばで、元気いっぱいの私たち。
そう、休む必要なんてないけど、
「社会は厳しいなあ」
と話しあったのが、昨日のことのようだわ。


この「真珠とダイヤモンド」は、わたくしに、そんな新人の日々の、バブルの残り香を味わわせてくれる一品でした。


バブルからポストバブルのご経験がある方には、とてもおもしろい小説じゃないかしら。


本って安いわよね。1000円とか2000円で、こんなにいろいろ豊かな思いをさせてくれるんだもの。
みなさまも、本、とくに小説を読むことをおすすめするわ。


おいしかったランチシリーズ!
ハワイ、ホノルルの有名店「エッグスシングス」。そこのロコモコよ。

目玉焼きの下にハンバーグ、の下にごはん。グレイビーソースと炒めたたまねぎもたっぷり乗っているのよ。
おなかいっぱいすぎて、夕食の時間がだいぶ遅くなっちゃったわ・・・


それではみなさま、ごきげんよう。

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