スナックまりー 東大 駒場キャンパス
ほら、あたし、次男の大学受験が終わったじゃない。
実質子育て終了よ。
なんだかさみしくてね。
長男も次男も、これからどんどん自分で考えて、自分で判断する、大人の道を進んでいって、ちょっとずつあたしは彼らの状況が把握できなくなるんだろうなあ、って。
18年前にお腹の中から出てきてから、少しずつ距離があいていく、っていうのが親子なんでしょうね。
なんて感傷に浸るついでに、自分が大学1-2年のころのことをつらつらと思いだしていたのよ。
東大の1,2年生は、今でもそうだと思うけど、渋谷区駒場のキャンパスに通い、一般教養を身に付けるの。
先生には本当に申し訳ないんだけど、私はほとんど授業内容の記憶がないわ。
記憶があるのは、飲み会、学食、カラオケ、サークルばっかり。
クラスは、語学ごとに分かれているの。私はフランス語選択のクラス。
文Ⅰと文Ⅱが混じったクラスだったんだけど、クラスの人数56人中、女子は6人。女子が全員、共学高校出身だったのが、たまたまとはいえ特徴だったかしら。
ええ、学校全体で、今以上に圧倒的に女子が少なかったの。
・・・そうなると「モテモテ?」とか思うわよね。
もちろん話しかけてくれる男子はいっぱいいたけど、「モテモテ」って感じではない。
なぜなら、東大男子はすごーくダサい男子でも、モテるから!
当時はまだセキュリティもそれほど厳しくなく(今も?)、国立大学のキャンパスなんて、入場料がかからない国立公園みたいなもの。
女子大の女の子たちが、いつの間にかキャンパス内にたくさんいるのよ。
春色のワンピースなんてきて、髪をふんわり巻いて、どんなしぐさがかわいいか、とかちゃんと把握している名門女子大の女の子たち。
東大女子も不細工なわけじゃないけど、10代のころ圧倒的に勉強に時間とエネルギーを割いてきたから、少なくともスタート地点では女子大生のプレゼンテーションに負けるのよ。
受験勉強の延長で、うっかり真面目に大学の授業なんてきいて、男子に「ノート見せて」なんて言われているうちに、その男子たちの多くは白いワンピースをきたかわいらしい女子大の女の子たちと付き合うの。
あたしは、東大のインカレサークルにはいってて。インカレだから、どの大学でもはいれるサークルなんだけど、ほとんど、東大男子と女子大で構成されているの。東大女子なんて蚊帳の外。
そこでも、だっさい、本当にだっさい東大男子が、つぎつぎと都会のかわいい女の子と付き合い始めて、私はその恋愛相談に乗ったりして、「世の中こういうことになっていたの?」と驚いたの。
かわいくして、学歴が高い男子を捕まえて、人生安定させようという女の人生があるだなんて・・・
考えたこともなかったわ。
でもね、東大女子はバカじゃない。そんな状況をみて、「見た目をかわいくする重要さ」「世の中思った以上に学歴見られるから、逆に東大が重くのしかかって、東大女子は結婚できないかも」なんて思ってね。
それに、東大女子をいましめるために、銀杏並木の伝説というのがあったわ。駒場キャンパスには立派な銀杏並木があるんだけど、東大女子は大学1年の秋、銀杏が色づくころまでに彼氏をみつけないと一生結婚できないという、伝説。
結果、56人クラスにたった6人だけだったクラスの女子、伝説を守った上、全員結婚して子供をもったわ。
東大男子の中にも「東大女子派」が少数いてね。その男子たちは、とにかく東大女子としか付き合わないの。そんな男子を見極める目ももてるようになったわ。
5月病ってあるでしょ。あたし大学1年のとき5月病みたいになって。
じつはね、大学生活がものすごくつまらなかったから。
あたしは中高一貫の都会の共学高校を卒業したんだけど、高校が楽しすぎたのよね。帰国子女とかもたくさんいて、アメリカのハイスクールみたいな印象の高校。勉強もみんなできるし、勉強だけじゃないスポーツや趣味をもっている子も多く、何せ陰湿というか、暗いところがない。そういえば芸能活動をしている子もちょっとだけ、いた。
それが駒場キャンパスにいったら、まじめ~な官僚っぽい子ばかりだし、遊びもしらないし、勉強以外していない田舎の男子とかお話がつまらない人も多かった(失礼・・・)。
だって話しかけてきたとしても「まりーちゃんは、血液型何型?」とかいうのよ。
それでこたえても、「そうなんだ~」とか言って、はなし途切れるわけ。
こんなつまらないところで4年を過ごすのかと、目の前が暗くなる思いだったわ。
実際はクラスの女子で仲良くして、高校の友達と遊んで、東大じゃない彼氏とデートして、サークルとバイトに忙しくして、復活したけどね。
なんとなく暗い印象が残っている、大学生活の出だしでした。
ほんとこの年になってつくづく思うのは、大学では何も決まらないってこと。
やはり社会に出て、どんな経験をして、どういうふうに物事をとらえて、だれと付き合っていくか、それがすべてな気がするわ。
あたしにとって大学は、純粋に心から楽しかった高校時代と、別次元の楽しさと厳しさに毎日さらされるお金の世界=外資系証券時代の間に位置する、モラトリアムだったように感じます。
あら、もうこんな時間。
さあ、そろそろスナックを開けなきゃ。
(おいしかったランチシリーズ)
オアフのノースショアの近くのトラックで買った、ガーリックシュリンプ!Fumi’sってお店のもの。ごはんの上のつぶつぶは、ぜんぶガーリック。
潮風に吹かれながらのスパイシーガーリックシュリンプは格別だったわ!
エビのしっぽを狙って、草むらからマングースが出てくるのも、私にとってはとっても珍しくて楽しかった。