マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 - お金のこと79 SVBはリーマンとは違う

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら。


週末から、「シリコンバレー銀行破綻!」という記事が出回ってますわね。
SNSを見ていると、「リーマン以来の大倒産!」とか「金融危機がくるのでは」みたいに言っている人もいて、すこし不安感が漂ってますわね。


でも、今回の件はリーマンの倒産とはまったく違います。


まず、シリコンバレー銀行(SVB)に何が起こったか。
シリコンバレーにあるベンチャー企業とからめて情報が錯そうしているので、まずは、SVBそのものと、ベンチャー企業を分けて考えましょう。


今回のSVBの苦境は、引き出される預金量に応じる現金を用意するために、保有している流動性の高い債券を売却したところ、債券ポジションに損失が出ていることが明るみになり、取り付け騒ぎになった。
というお話です。


この「流動性の高い債券」とは、「米国債」「MBS(米国モーゲージ債)」という非常に信用力が高い債券で、ここにはデフォルトの可能性はほとんどありません。しかし、近年の金利引き上げによって、「含み損」が発生していました。


米国債は日本の銀行や地銀や生保を含め、ほとんどの金融機関が持っていて、同様に「含み損」が出ています。でも、通常このような債券ポジションのほとんどは、会計上「満期保有(Hold to Maturity)」区分で保有しています。つまり、「含み損」は含み損のまま、実損として損益計上しなくてもいいわけです。
そして、債券は満期に100%で償還されますので、途中で「含み損」状態になったとしても、最終的には満期に100でお金が戻ってきて、「おしまい」になります。


金融機関は当然日々のいろいろな資金決済、預金、融資、その他お金の流れをつかさどっていますので、いつもお金が必要です。そのため、コマーシャルペーパーや、短期資金市場での調達、債券発行によって、運転資金をまかなっています。


ところが、私が調べたところ、SVBはCPや債券発行の形跡があまりみられません。おそらく預金としてはいってきた現金で、運転資金を十分まかなってきたのだと思います。


ところが、今回、何等かの理由で、預金が想定よりも引き出される事態になり、急ぎ現金を作らなければいけなくなり、「満期保有」していたすぐ売れそうな債券を「トレーディング勘定(Available for Sale)」に移管して、市場売却することになりました。


Available for Saleに移管した瞬間から、会計上「含み損」は「実損」に姿を変え、まあ、実際に市場売却して損失が出たわけです。
それと同時に資金調達のアナウンスをしたものだから、世の中に、「すごい損が出ている!」とわかってしまい、取り付け騒ぎに近いことが起こって、アメリカ当局の管理下に置かれることになりました。


かなり、この銀行特有の状況だったといえます。


米金融当局は、2008-9年の金融危機でものすごくいろいろなことを学び、金融機関に対する規制も強化しています。
それもあって、今回の騒動は銀行システムを揺るがすような、「金融危機」にはつながらないでしょう。そもそも前提とする金融システム自体が2008年当時とは違います。


それではリーマン危機のときは何が起こったか?
今回とは何が違うのか?


ちょっとわたくし今からお出かけしなければなりませんので、その続きは回を分けて書かせていただきますわね。


おいしかったランチシリーズ。

先日ランチに、受験が終わった次男とお邪魔した、「焼肉チャンピオン ペントハウス」。すべて個室で、おいしい「チャンピオン」の焼肉がいただけるの。
この画面の細長いお皿は追加で注文したお肉ですが、お盆にのっている部分「お肉、スープ、ごはん、キムチ」と、サラダと、杏仁豆腐で構成されるのが「ランチ 焼肉御前」。お値段1950円。
かなりリーズナブルだと思うわ。


それではみなさま、ごきげんよう。


続編はこちら!

×

非ログインユーザーとして返信する