スナックまりー 卒業
いらっしゃーい。
こんばんは。
あ、わかっちゃった?
ごめんね~今日はもう、あたしよっぱらってるの。
今日はね、昼間のお仕事はお休みをいただいて、次男の卒業式に出席していたのよ。
卒業式の後、こっちで一人で祝杯をあげていたの。
みなさんはどうか知らないけど、私にとって子供の小中高の卒業式なんて、8割はたいくつな行事。
どうでもいい(失礼)おじいさんとか出てきて、延々とつまらない話、自慢話を聞くって感じで、よく生徒が居眠りしないわね、と感心するくらいよ。
担任が、卒業生の名前を一人ずつ読み上げているときだけ「じーん」とかして。
それがね、今日の卒業式では心にのこるスピーチがあったの。
それは、卒業生代表による「答辞」。
ほら、卒業していく生徒が思い出を語ったり、後輩へのメッセージを託すやつ。
だいたいは1年生からの楽しい思い出を振り返るような内容。
でもね、今年の卒業生、入学が2020年春なの。つまり、コロナによる緊急事態宣言下での入学。
卒業生代表の子は言ったわ。
「私たちの、楽しいはずの青春は失われました」
きいていて、どきっとしたわ。
「卒業アルバムのほとんどの写真はマスク姿。行きたかったけどなくなった修学旅行。毎年「来年こそは」と思いながら、中止の決定を聞いた文化祭、運動会。憧れだった短期留学。消えた部活の大会・・・・」
大人みたいに「コロナで大変だったけど学ぶものも多かった」的な、なあなあな、おざなりの発言ではなく、はっきりと
高校時代=「失われた青春」
と説明したのよ。
かわいそうで、このときはじめて涙が出たわ。
そう、なんのために彼らは青春を失わなければいけなかったのか。
コロナの感染を広めないためでしょう。では、誰に?
おそらく、健康で部活なんかやっている高校生は、当時も今も、感染したって致命的ではない。
まわりまわって、コロナを「老人」にうつさないためよ。
この国は、「老人」と「子供や若者」を天秤にかけたとき、必ず老人をとる国なんだ、そう心から思いました。
この3年間、老人を守るために、子供たちは学びの機会も、楽しい思い出も、友達づくりも、たくさんのことを失ってきました。
でも、しょうがないのかもしれません。
政治は、老人中心で動いているから。有権者の中に老人が占める割合が圧倒的に高いので、老人向けの政策がとられるのは、当然なのかもしれません。
子供は投票権ないしね。
人口がどんどん減っている=若者の数が絶対的にも相対的にも小さくなる
ということは、民意=老人の意見、になるため、次世代が割をくって、たくさんのものや機会を失うことになるってことなのでしょう。
そして、未来を明るく感じず、貧しい若者は、ますます子供を産みたがらなくなる。
こうやって国家は衰退していくのね。
老人のために犠牲になった高校生活を思い、国の衰退を、より明確に実感したわ。
国全体で浮揚するには、もう遅いかも。
せめて、そんな環境下で、自分と自分の周辺だけは、うまいこと立ち回る、ってことに集中したほうがいいかもね。
この国にはあまり明るい未来はないんだとしたら、せめて自分や自分の子供は、豊かな他国で稼げる力をつけるしかないんだわ。
この国が「出稼ぎを受け入れる国」から「出稼ぎ労働にでかける国民がたくさんいる国」に変わるだなんてね。
人生後半戦にさしかかろうとしているあたしは、もう飲むしかないって感じよ。
あら、ごめんなさい、私ばっかり飲んで。
何にする?