マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー お金のこと72 債券投資、持ち切り?

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら。


わたくしね、キャリアのスタートは外資系証券の債券部で、一日中いろんな債券や金利デリバティブや債券先物をみていたの。それらを機関投資家に販売したり、機関投資家向けにオーダーメイドの投信を設定するような仕事をしていました。


ですから、債券投資って、投資の世界では一番最初にやるもの、債券は全員が知っているようなものの気がしていたのよね。


個人投資家の世界にきたら、違った。
ほとんどの人がこの巨大マーケットの債券をさわってもいなかったの。


これは驚きだったわ。


債券と株の違いはたくさんあるけど、一つは「持ち方」じゃないかしら。
というのも、


ー債券では償還日があらかじめ決まっており、その償還日に債券の額面の100%の現金が投資家に返還されて投資が終わる


ー株は償還日がなく、会社が上場している限りずっと存在しているので、現金化するためには投資家がどこかで売らなければいけない


債券はね、売る必要がないのよ。
償還まで保有し続ける投資方法を「持ち切り」とプロ機関投資家の世界では呼んでいます。


そしてね、持っている間、あらかじめ決められたクーポンが支払われます。
持っている限り、定期的にクーポンが支払われ、最後には償還金が100%支払われる。
それが「決まって」いるの。
ですから、英語で債券は、Fixed Income(決まってるインカム)と呼ばれるのよ(個別の債券はBondとかNoteとか言われることもある)。


よく新聞報道で、「アメリカの金利が上がったから銀行業界全体で外債投資●●兆円の損!」とか報道がありますが、そんなのは単なる評価損です。


金利の変動で計算上の値段は上下しますが、基本的にはそれぞれの債券投資から得られるお金は、クーポンと100%の償還金ですので、あらかじめ決まっているのです。
途中でいくら計算上「損」みたいに見えても、そこはかわりません。


「株で含み損」と「債券で含み損」では意味が違う、ということになります。


この「持ち切り」という投資手法がとれるということが、債券投資と株投資の一番の違いのひとつかもしれません。


もちろん、債券も償還日まで持っていたくない、とう場合には、償還日の前に市場で売ることができます。
ただそのときの売却金額は、額面の100%ではなく、その時の金利(や、社債の場合は発行体企業の信用力)で計算された金額になります。
ここは要注意ね。


過去の金融緩和局面で、FRBも欧州中央銀行も、債券を買い入れるという「金融緩和」をおこないましたが、日銀は国債を買うことに加え、「株(ETF)」を購入するという金融緩和をしました。


FRBや欧州中央銀行の買った債券は、償還日になったら静かに100%で淡々と償還され現金になります。
一方、日本銀行のETFは「市場で売却されない限り」現金にはなりません。


日銀総裁が春に新しくなるそうです。
この売らないと現金化できない巨大ポジションETFを、どうするかという大変難しい宿題を背負わされる新総裁はちょっとお気の毒。
まあ、持ち続けるしかないのかもしれないけど。


最近おいしかったランチシリーズ!
紀尾井町の都市センターホテル1階の「レストランアイリス」

本格的な洋食だったわ。手前がハンバーグ。奥がエビフライ2本。なんの変哲のないこのエビフライがぷりぷりで太くておいしかったわ。たっぷりのタルタルもつくの。ライスとのセットが1500円(+目玉焼き100円)。この界隈ではリーズナブルよ。


また債券についてはお話します。
それではみなさまごきげんよう。

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