マリーの部屋 ー 外資系の「実力主義」って?
みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしでしょうか。
わたくしの職歴のほとんどが、外資系金融機関であることは有名な話(なわけないか)。
外資系って、外からみるイメージと、実際にいるのとでは、だいぶ違うなーということがあります。
たとえば「外資系は実力主義」。
もちろん実力主義です。
ただ外から見た印象だと「実力主義」とは「頭がいい」「実務能力がある」という意味にみえているのかも・・と思います。
私のいた外資系の「実力主義」とは、「評価が高い」という意味。
つまり、主に上司から非常に高い評価をうけることが何よりも大切になります。
その結果、私が知る限り、ですよ、上司にたいする媚びへつらいは、日本企業と比較にならないくらい重要になります。
上司に気に入られて、いい仕事を振られ、上司からいい評価を得るのがなによりも大切。
人事部は、「人事評価」には介入しません。人事的手続きをする部署です。
上司のお気に入りのメニューを覚えていて、毎日スタバのコーヒーを差し入れる、とか、上司の旅行のアレンジをする、上司の服を毎日ほめる、上司の趣味を自分もはじめる、とかまでする人にも、たくさん会ってきました。
全人格、全力をつくして、上司からの評価を上げる、それこそが「実力主義」です。
江戸時代の殿様と、家来みたいな感じでしょうか。
この背景には日本の企業みたいな「定期人事異動」というものがないせいもあります。同じ部長が十年以上居座るということもあるし、企業のトップの在任期間もながいですよね。
JPモルガンのジェイミーダイモンなんて、2005年からCEOをやっているのよ。
日本の銀行の頭取はすぐ変わってしまうのとは対照的ですね。
逆にいうと、上司と合わなかった場合、いても無駄。評価上がりません。かつ、いくら耐えて待っていても、上司は異動しません。
よって、さっさと見切りをつけて自分が転職していまうのが一番いい、ということになります。
こうやって、海外の転職市場は日本よりずっと活性化しているわけですね。
それから「外資系はすぐクビになる」。
たしかに人員削減は、あります。でもそんなにしょっちゅうクビになるということはありません。実務能力すらない人なら、そもそも採用されません。
私はブログでも以前書いたように、一度クビになりました。金融危機のさなか、2008年11月です。サブプライム商品を扱っていましたので、その部署ごとなくなりまして・・・
このように、必要のないビジネスができると、その部署の全員をクビにしてしまったり、とかあります。
たとえば、「日本株のトレーディングから撤退する」ことを決めた外資系証券がありました。その時、各業種のトップアナリストとかも一律にクビになりました。
こうやって、企業は新陳代謝し、健全性を保てるわけです。
このように、クビがよくあるぶん、転職先候補となる競合他社はたくさんあります。そして、そういうクビになった人を狙って採用してくる会社もいくつもあります。
クビにならない限り出てこなかったような、貴重な人材がいることもあるし、部署ごとやとえばそのビジネスをすぐ立ち上げることができますよね。
また、例えば部署の半分がクビになって、自分がそのクビの半分にはいっていたとします。
そうなると自然に、「自分は評価が低い半分だったのかも」=「自分にはこの仕事は本当にあっているんだろうか?」と考えますよね。
常に自分自身を「値洗い」するに近い環境に置かれるので、自分の立ち位置がわかり、時代に合わせて自分の仕事も変えることができて、逆にとても安定的な人生になります。
間違っても、55歳の役職定年のときに、はじめて外をみてみて、転職したらお給料が半分になる!とびっくりして、そのまま定年まで元いた会社でお荷物扱いされながら飼殺される、
なんてことは絶対おこりません。
こんな感じで、「外資系」に対するいろんな噂がありますが、こちらはこちらのシステムなりにとても効率がいいし、すごくよく「回っている」のです。
また、大企業病みたいなのがなく、つねに転職を意識しているので、かえってみんな自由になります。いやだったり、合わなかったら辞めればいいのですから。
おいしかったランチ!
ひさしぶりに行った表参道CICADA。
今日はチキンのタジンをいただきました。ちょっと濃いめのスパイシーな味が、ビールにとてもよく合ったわ。
それではみなさまごきげんよう。