マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー お金のこと④ 運用報酬と富裕層

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら?
わたくしはね、昨日ブルゴーニュワインの会に参りましたの。ワインとおいしいものが好きな方々ばかり10人ほど集まって、それぞれのワインが作られた村とビンテージの当てっこをするお遊びよ。わたくし以外は、ワインスクールのお仲間つながりだそうでそれぞれに自分なりの答えをだしていらっしゃいましたが、わたくしはその辺は素人で。単に感想を申し上げるだけでしたわ。でもワインの先生がワイン関連単語の説明をわかりやすくしてくださるとともに(ホールバンチっていうのは、ぶどう房だけではなく茎まで使う製法よ、とか)詳しい解説をしてくださってとても勉強になりました。解説をきくと、自分で気づいていなかった良さ(香りとか味とか)を急に感じはじめたりして、味わいがより深くなるような気がいたします。楽しいひとときでしたわ。


お金のこと②で運用会社等に必ず支払わなければいけない運用報酬をちゃんと見ましょうねというお話をいたしました。そこでは、その運用サービスから得られるリターンと比較して、高すぎる運用報酬が設定されている投資信託は避けましょうというご説明をいたしました。
https://marienoheya.muragon.com/entry/11.html


運用報酬を見るとき、もう一つポイントがございまして。それはなにかというと、「その報酬を払うだけの付加価値があるか」という観点です。どこぞの有名ファンドマネジャーが一生懸命、命をかけて銘柄を選んでくださったり、調査したりしているのなら、それだけの報酬を払うことを納得できるかもしれません。または大きな運用会社で、何百人のも人が働いてやっと運用できるような、高度に手間がかかった投資信託を買うのにお金がかかるのもしょうがないかもしれません。それから、個人でアクセスできない資産を見つけて、運用してくれる商品には、私だったら喜んで報酬をはらってしまいますわ。
https://marienoheya.muragon.com/entry/12.html


一方で、ひとつふたつの商品しか入っていない投資信託には、わたくしは運用報酬をお支払いする気はしませんの。たとえば、ETF(上場投資信託)が数個だけはいっている運用商品。みなさま、そんな運用商品の中に何がはいっているか見て、ご自身で証券会社でその数個を直接お買いになれば運用報酬はかかりませんのよ。もちろんETFそれぞれの運用報酬はかかります。でもそれをまとめている商品というのは、そのまとめることにより、『追加』で1%とか運用報酬をとっているわけです。運用報酬1%が高いかどうか議論があるところだとは思いますが、500万円運用したら、1年間に5万円かかるということでございます。それを報酬として運用会社にお渡しするか、それも投資に回すかで、10年後には大きな差となるような気がいたします。


もちろん、たとえETFをまとめた運用商品であっても、市場環境にあわせて頻繁にリバランス等しているようでしたら、それは素人の手には負えませんので報酬をお支払いする価値はあると思います。それから、はいっているETFの数が多くても手に負えませんわよね。また、ETFといっても、個人が買えるものと買えないものがございます。個人が買えないもので構成されているようでしたら、それも報酬をお支払いした上でプロにお任せするしかないと思います。
運用報酬の水準の高い低いも見なければいけませんが、同時に「その運用報酬を支払うことによってどのような『付加価値』が得られるのか」も見なければいけません。それは素人でもちょっと資料を読んで考えればわかります。証券会社の窓口にお聞きになても、お友達と一緒に考えてもいいでしょう。金融の知識がなくてもわりと簡単にわかることだと思いますわ。
<ポイント>
- 自分が買おうと思っている運用商品の中には、実際に何がはいっているのか。
- そして、それは自分で買うことができるものか。
- 買うことができる場合、自分で簡単に買えそうな個数か。
- 中身が入れ替わる(リバランス)頻度は年間何回で、その入れ替わりの情報を知ることはできるか(知ることができるタイミングは後日でOK)。


あとね、ちょっと最近気になったことが。テレビのCMでたまに「富裕層向けの運用を提供」ってあるでしょ。あれは嘘。富裕層向けの運用は、富裕層にしか紹介されません。もちろん富裕層向けの運用でもバランスがとれた、安定的な運用というのはベースとしてございます。しかしそれはあくまで、ベースであって、本当の運用の醍醐味は、限られた投資家にしか案内されないプライベートアセットや、値上がりがほぼ確実な未公開株など、数限られたものになります。そのほか、富裕層は莫大な納税をしなければいけない方もいらっしゃるので、納税期まで1年にかぎって元本確保に近い形で納税資金を運用するサービスとかね。そういうのを富裕層向け運用というのです。


みなさまがもし、外資系のウェルスマネジメント(富裕層専門部署)が担当をつけるようなお金もちでしたらこのブログなどお読みにならず、その担当者にお任せなさればいいと思います。そして、その高度なサービスに対してきちんと報酬をお支払いになってください。
まあ、外資系のウェルスが担当するお客様は最低でも10億円(キャンペーン期間中だと5億円になるんですって)の金融資産を保有していることが必要だと思いますけど。


わたくしが申し上げたかったのは、前回申し上げた安定的な運用は「富裕層向けの運用」ではなく、「世界中のだれでもがふつーやっているような運用」ということでございます。世界の経済成長や物価上昇を上回るような状態の国にいらっしゃる方は、(高度成長期の日本のように)預金口座にお金をいれているだけで、世界の経済成長やインフレを上回るような預金金利がつくので、それでいいのです。
それを大きく下回るような状態の国にいらっしゃる方(今の日本)は、ご自身でグローバル分散長期投資をしなければいけない、ということでございます。
・・・単純なお話だと思いますがいかがでしょうか?


まだまだつづきます。
ワインも金融も奥深いですわね。
それではごきげんよう。

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