マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー お金のこと㊶ そもそもなぜ資産運用が大切か

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら。


先日Twitterをみていたら、評論家の萩原博子さん(68)が
「投資は危険」とおっしゃっていることに対するコメントを見ました。


この方のお名前を存じ上げなかったのでグーグル先生にきいたところ、けっこう有名な経済ジャーナリストですのね。検索して一番上に出てきた東洋経済の記事(2021年7月10日「安心なはずの分散投資で大損をする人の盲点」)をみてみたところ、以下の文章でこの方の「投資観」がよくわかったわ。


「投資とは、安いときに買い、高いときに売ることで、その差額分の利益を得ること。」


そして、最後は、「やはり現金が最強だ」としめくくられています。


そして投信で大損の理由はふたつ
・安い時に買い、高い時に売ることができない
・投資している限り高い信託報酬をとられる。


まあ、わたくしから見たらつっこみどころ満載なわけでして・・・・


①まず、投資とトレーディングを混同している。
安いときに買い、高い時に売る、(短期)売買によって利益を得ることを目的とする行動はトレーディングです。長期分散投資とは全く違います。


②そもそも、いつが高い時か、安いときかはわからない。
預言者でもない限り、高値と安値はわかりません。それがわかれば、全員が大儲けです。
それから、期間によっても違います。
たとえば先週の金曜日ジャクソンホールを受けて米株が暴落しましたわね。
その一日の値動きがこちら(NYダウ)

この一日だけみたら、朝方に持っているポジションを売って、引けで買い戻すのが得策、ってことになりますわね。


一方、おなじNYダウの10年の値動きがこちら。


これだったら、10年前に買って、今売るのが正解ってことになりますわね。
つまり、誰も高値と安値を予想できない上に、どの期間で見るかによって、高値と安値は全く違ってくるということになります。


③現金が最強・・・?いいえ、現金は目減りします。
インフレと、預金金利の考察が全くなされていません。今68歳ということは、ばりばりと働かれていたとき、30-40代といえば、1980~90年代かしら?
このころのインフレ率は、3%くらい。その後、どちらかというとデフレ時代を経て、今のあしもとのインフレ率は2%くらい。
ざっくりそれくらい毎年物価が上がりますの。


一方で金利水準は?


こちら、以前もお見せしたことがありますが、日本の定額貯金金利の推移。80年代~90年代といえば、5%くらい金利がありました。
みなさま想像できる?銀行やゆうちょに預けているだけで、金利が毎年5%もつくの。


つまり、銀行に預けていれば、インフレ率よりも高い金利がつくわけだから、お金は目減りしないわ。もうかっていくのよ。
100万円を預けて、5%の金利で10年たつと、163万円になるのよ。


この経済ジャーナリストの方は、そんな時代にお金のことをいろいろ調べて記事にされていたから、現金(現預金)が最高っておっしゃるんでしょうね。
そんな時代に収入を得ていたこと、心の底からうらやましいわ・・・


わたしたちは、銀行にお金を預けていても、一円も増えない。
一方、インフレは足元2%あるし、円安や資源高でもっと上がるかも、という感じもある。インフレ率 > 預金金利 なのよ。


単純計算をすると
今日の100万円で買えるものは、インフレ率が2%だと、来年には102万円かかるってこと。逆に言うと、資産の購買力は2%ずつ下がっていく・・・・


今日の100万円の価値
=来年の98万円
=再来年の96万円・・・


=10年後の81.7万円


何を計算したか、ですって?
そう、10年後に100万円もっていたとしても、インフレ率が毎年2%だとしたら、そのときの100万円で買えるものは、今日の81万円で買えるものと同じ。


今日の81万円で買えるもの=10年後の100万円で買えるもの
(インフレ率2%(年)の場合)


わたくしたちは、今の時代にあった資産防衛をしなければいけないの。
それが、長期分散投資。


預金金利がインフレ率を下回っている、ということは、預金だけしておくと、買えるものがどんどん減ってしまう、ということなの。


せめてインフレ率以上にはお金をふやしたいわね。
このブログで再三申し上げている資産運用というのは、
「インフレ率と同じくらいかそれ以上に、資産を安定的に増やす」
ためのいろんなこと。


倍にしようって、はなしじゃないのよ。


それではごきげんよう。

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