マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー お金のこと⑱ レバレッジとレバナス


みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら。


先日、「レバナス、オルカン」という題で書かせていただきました。


そうしたろころ、レバナスが担保+先物で構成されており、現物の株が入っていない!というところに驚かれる方が何名かいらっしゃって。


現物が入っているわけはございませんわ。
だって、現物を投信にいれるには、現物を買うお金が必要でございますもの。
「レバナス」は倍の値動きを標榜しているので、そうすると倍の現物を投信の中に入れようとするわけで・・・


倍の現物株を買うお金はどこにもございません。


そのため、先物やインデックススワップという、デリバティブを使って疑似的にポジションをつくるのでございます。


具体的にご説明しますわね。


レバナスそのものが入ったグラフはみつからなかったので、ここでは、ETFを使って説明します。


上記のグラフは下げ相場の、2020年2月後半~5月半ばのリターン比較になります。


QQQ:ナスダック100指数 ETF (インベスコ)
TQQQ:3倍レバレッジ ナスダック100指数ETF (プロシェアーズ)


QQQはレバレッジがかかっていないナスダック100指数に連動するETFです。
実際に商品説明の英語のページをみると、実際のETFの中身は、ほぼこの100銘柄の現物株で構成されていることがわかります。
ですから、日中の価値も随時わかります(それぞれの株価×比率を足し合わせる)。


一方TQQQは、3倍のレバレッジがかかったETFになります。
実際に3倍量の現物株を買うお金は、当然ないです。1倍分しかありませんわね。
実際に商品説明の英語のページをみると、米国国債、それからナスダック100指数のインデックススワップ(デリバティブ)がはいっているのがわかります。
TQQQがJPモルガンやゴールドマン、シティグループといった証券会社と、インデックススワップの契約をしているのです。そのときスワップ契約の担保として使われるのが米国国債になるわけです。


TQQQが契約しているデリバティブの契約書まで見えないので、ここからは私の想定ですが、デリバティブの契約額面の合計は実際の投信の規模の3倍近くになっていることになります。一方で、持てる現物は1倍(投資家が振り込んだお金のぶん)になりますので、担保としての米国国債は1倍、デリバティブの額面(3倍)より少なくなります。


つまり、その担保の価値を割りそうなくらいスワップの価値が下がった場合には、おそらくスワップは強制解約になると思われます。


TQQQに限らず、レバレッジがかかったもの(含レバナス)は、おなじような仕組みでしょうから、あまりに大きく値段が下がった場合には、担保でカバーすることができなくなり、強制償還されることもあると思います。


額面の3倍のポジションがはいっているわけですから、上記のグラフのように値動きが大きくなるのは当然ですわね。


今年のはじめまでみたいな上げ相場のときは、レバレッジがかかったもののほうが、値段が大きく上がります。下げ相場は逆・・・・レバレッジがかかったもののほうが、当然大きく下がります。


またTQQQをみると、スワップの契約上、値洗いは1日1回。つまり、日中の理論価格は出てこないことになります。おそらくQQQにくらべて日中の流動性は相当に落ちると考えられます。


また、場合によってはデリバティブのほうが値動きが大きくなることも・・・
実際にわたくしが、証券会社のデリバティブの部署で働いていた時に経験したのですが・・・


相場が大きく上がる、下がるときに、機関投資家はいち早く買い増ししたり、ヘッジ(ポジションを閉じる、売る)しなければいけません。それがお仕事ですからね。


でも、現物を100銘柄市場でいっきに売ったり、逆に買い集めるのは大変です。その点、先物やスワップというデリバティブなら、契約1つで売買ができるため手間とコストが相当節約でき、瞬時に約定することができます。


結果として、機関投資家はマーケットが大きく動いている時はデリバティブ取引ばかりやろうとするので、現物よりデリバティブのほうが値動きが大きくなる可能性があるわけです。


このように、
現物がはいっている投信
レバレッジがかかっている投信
は、そもそも中身がまったく違いますし、それゆえに、レバレッジがかかっている投信は値動きがレバレッジ倍数以上にさらに大きくなる可能性があるわけです。


わたくしちゃんと説明できているかしら・・・
もしわからなかったらご質問をいただけるとありがたいわ。


そして、はっきりいってTQQQを使っているプロ機関投資家はいません(裏の先物やスワップといったデリバティブは使っていると思いますが)。
QQQはプロ機関投資家も使っている有名な銘柄になります。


わたくし、個人的には長期運用に使うなら、というか、そうでなくても、QQQのほうがおすすめです。
もちろんどちらも合法な金融商品。お好みですけどね。


今日のおいしいもの!


(六本木の炭火焼 月の、コースの最後のイチボのステーキ。絶妙な火入れ。やわらかいお肉。そして、これだけ単独でいくらでも食べたい特別な粒マスタード!)


みなさまごきげんよう。

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