マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー お金のこと⑰ 下げ相場と機関投資家

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら。


最近株価が下がることも多く、Twitter内でも阿鼻叫喚が聞こえるわ。


わたくし、長期分散投資が、老後の備えとしての運用方法としては最強と申し上げてまいりました。


その本質的なところは、
「長期的に俯瞰してみると、グローバル分散投資は、世界の平均的な経済成長に近いリターンとなる」
ということでございます。


ですから、もし我が国が世界で一番成長著しい国だったら資産運用は必要ございません。


低成長で金利も低い日本だからこそ私たちは資産運用が必要なんですわ。


とくに最近は円安もありますからねえ。
この円安についても昔書きましたが、結局は「国力」の差で為替は調整されていってしまうので、しばらく円安の流れは止まらないでしょう。


為替についての解説はこちら。


そしてね、わたくしが長期分散投資、とくに長期投資が「優れている」と思う理由がもう一つありまして。


それはプロ機関投資家がやりにくい投資手法だということ。


プロ機関投資家にもいくつか種類がありますのよ。個人のお金を投資信託を通して預かって投資しているような機関投資家は、その裏の個人投資家の動向に左右されるので、機関投資家といっても個人に近いですわね。


わたくしが注目しているのは、「銀行」。それから「年金」「その他基金」。


みなさま、銀行にお金を預けていらっしゃいますわよね。それが銀行融資を通じて企業に流れて経済成長を支えるわけですが、低成長の日本、あまりいい融資先がございません。


そのためけっこうな量の資金が「市場運用」に回されるのです。


もともとは元本が割れるなんてありえない預金からきたお金。


この銀行の動きが本当に早いのです。
基本的に単年度でどれだけリターンを挙げられるか、ということで、運用ご担当者は評価されることもあります。


そのため、市場が下がると、損切を素早くして、ポジションを解消することも多々あります。
そして、この巨大資金の動きが、市場の変動をさらに大きくしてしまうこともございます。


それから「年金その他」。
その多くの部分が、グローバルのいろいろな運用会社に運用を委託しています。
年金ですからそれこそ、長期運用をすべきですよ。


でもね、各運用会社は「運用の成果」を四半期ごとに委託元の年金にご報告に参ります。
そのとき、「一時的に損がでましたが、長期的には大丈夫」みたいなことを説明できればいいわ。


そういう説得に、委託元の年金が納得しない場合、また、納得したとしても、その運用会社の成績が他の運用会社より劣っていた場合
クビ
になっちゃうんです。


そりゃあ年金基金も個人の退職金にあたるものを運用しているわけで・・・委託する責任というものがございますわ。ですから、厳しく成績を比較して、運用会社を入れ替えていきますの。


運用会社としては、損が出たとき耐えるのはきついですわ。
すぐポジションを解消してお客様である年金に「いちはやく対策をとりました!」というほうがいいことも多々ございます。


長期資金なのですが、成績評価が比較的短期なので、そういう短期で動くこともあるということです。


あとは、ヘッジファンドなど「市場のあや」を見つけて、そもそも超短期売買を繰り返す資金もございます。流動性の高い先物とか使ってね。この人たちは、市場が動いたほうが儲かりますから、大きな下げ相場の動きを増幅しがちです。


あとは、基本長期運用をしている生命保険も、社内で短期で運用成績評価される一部の資金については、当然短期でうごきます。


ね、プロ機関投資家って大変ですわよね。
みなさま、20年とか保有し続けたらきっといいリターンになる、ってわかっていらっしゃるのよ。
でも、成績評価を短期でされるんですもの。
短期で動かないと、おこられるし、ひどい時はクビになりますわ。


一方個人投資家は、成績評価をするのはご自分自身。
ご自分さえ納得していれば、どれだけ長期でもっていても、怒られませんし、クビにもなりません。


これは個人投資家の最大の強みでございます。


機関投資家が苦労している市場の変動なんかに惑わされず、長期分散投資をし続けるのが、勝つ秘訣ですわ。
プロ機関投資家にはできないこと。


市場が激しく動いている時には、パソコンを閉じて、おいしいものでも食べにいきましょう。
長期グローバル分散投資、最強ですわよ。

(昔の同僚といった赤坂のイタリアン、ラスコリエーラの真鯛の香草オーブン焼き!魚介が本当においしいイタリアンですの。わたくし金融危機以前から通っていますの。)


(分散投資の解説はこちら)

ごきげんよう

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