マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー お金のこと⑯ 続 債券(値動きのメカニズム)

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら?


今日は昨日の続きで「債券」。
昨日は
「株と債券の違い」
をざっくりご説明いたしました。


今日は、
「債券の値段って、どんなとき動くの?」
についてです。


金利が上がると債券価格は下落し、金利が下がると債券価格は上昇する、ってきいたことがありますでしょうか?
そんな感じです。


じつは、コロナが蔓延した2020年春から、先進国各国は金融緩和をしました。
金融緩和→金利低下、だったから、債券価格は上がりました。
株だけではなく債券もとてももうかりましたのよ。


さて、債券の価格を左右する「利回り」って何かしら?


債券の利回り=金利+信用力


信用力というのは、債券を発行する国や企業の「信用」のことです。


ほら、前の回で、株は資本、債券は「借金」と申し上げましたわよね。
借金ですから、借り手の信用力により、上乗せ金利が違うわけです。


信用力が高い会社は低い金利で借金(融資をうける)ことができるけど
信用力が低い会社は高い金利を払って借金する


という当たり前のことになります。


債券の利回りに影響を与えるのは、「金利と各発行体の信用力」となります。


そして、
この利回りが上がると債券価格が下がり、
利回りが低くなると、債券価格が上がる
というメカニズムです。


なぜでしょう?
ファイナンスの教科書だと、このあたりからは数式のオンパレードになるけど・・・
言葉でご説明してみます。


利回りが上がるとか下がるというとき、何と比較しているのでしょう?


それは、
「そのとき、今日、もし同じ条件の、同年月日の満期の債券を発行したら」
ということと比較するのでございます。
今日発行する債券の価格は、100でございます。


5年後の今日償還するA社の社債(クーポンが3%)が市場に流通しているとします。
もし今日、A社が5年後に償還する社債を発行するとしたら・・・?


A社の今日発行する債券の利回り=5年金利+A社の信用プレミアム


ということになります。発行価格は100です。
もし
今日の5年金利が1% A社の信用プレミアムが1.5%だとすると、


A社の今日発行する債券の利回り=1%+1.5%=2.5% ⇒発行価格100円


市場に流通しているクーポン3%の、償還まで5年の債券の価格は
100+(3%ー2.5%(今日発行するA社の社債の利回り))× 残存5年=102.5円


ざっくり今市場に流通している、3%クーポンのA社債の価格は102.5円
という計算になるわけです。
(数式使ってしまいましたが、+−×のみなので許して。)


金利が上下したり、信用プレミアムが上下したりすると、その時々でA社が発行できる社債の利回りがかわります。
新規発行債券の価格を100として、それと利回り差を見ながら、債券価格はうごくわけです。


金利が下がったり、信用プレミアムが下がると、市場に流通している債券の値段は上がる。
金利が上がったり、信用プレミアムが上がると、市場に流通している債券の値段は下がる。


株とはけっこう違いますわよね。


国債はどうでしょうか?
自国通貨で発行している国債については(たとえば日本国債なら円)金利自体、それからそもそもの発行通貨自体(たとえば日本国債なら通貨円)に、国の信用力が織り込まれていますので、
信用プレミアム
という項目はありません。


でも、もし、将来日本がドルで国債を発行したりすると、ドル金利や通貨ドルには、日本の信用力は織り込まれていませんので、


ドル建て日本国債の利回り=ドル金利+日本の信用プレミアム


ということになります。


以前、アルゼンチンやベネズエラがデフォルトしたってニュース、耳にされたことがあるかもしれません。
それは、自国通貨建てではなく
「ドル建て国債」
がデフォルトしたわけです。


アルゼンチンのドル建て国債利回り=ドル金利+アルゼンチンの信用プレミアム


アルゼンチンが財政難になって、信用力が落ちて、信用プレミアムが非常に高くなりましたの。
そのため、新規でドル国債をアルゼンチンが発行しようとするとものすごい高いクーポンをお約束しなければならなくなって・・・・さらに、投資家が「アルゼンチン、やば」と思って、そもそも新規発行の国債をだれも買わなくなってしまったのです。


そうすると、次々と新規でドルだて国債を発行して、その一部を、昔発行してもうすぐ満期を迎える国債の償還金にしようと思っていたアルゼンチンは、ドルを調達する見込みがはずれ、ドルで償還できなくなり、デフォルトということになったのですわ。


今ロシア国債がデフォルトするか?と言われているのは、信用力もそうだけど、経済制裁で、あらたにドル建て国債を出せなくなっているから。そうすると、新たにドルを調達できないわけですから、昔に発行して償還しなければならないドル建て国債の償還金が払えない可能性があり、結果としてデフォルトになるわけです。


こんな感じ。


じゃあ、わたくしたちが個人で、このなんだか難解っぽい市場に投資をするにはどうしたらいいのでしょう?
それを次回お話しますわね。


今日も文字ばかりになりました。
最後においしいもの♪


恵比寿のカジュアルイタリアン、レッドペッパーでいただいた、ピスタチオ炒め

ワインが1本くらいのめちゃう、おいしいピスタチオの塩炒めです。
これで800円くらいだったわ。
翌日ゴルフなのに飲みすぎ・・・


続く!


前回はこちら!

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