マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー お金のこと64 地銀の業(ごう) 仕組みローン

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら。


わたくし先日、元同僚たちとお寿司屋さんで忘年会したんです。
ほら!おいしそうでしょう。
楽しい仲間とおいしい食事。人生の最大の味わい、って思いますの。

そこにね、地域金融機関、主に地銀相手の営業がいらっしゃって。
「マリーさん、僕は今年最大に成績を上げてね」
なんと、儲けだけで10億円を超えたんですって。
すごいじゃない。で、何がよくうれたの?とうかがったところ。


「仕組みローンだよ」


私はのけぞったわ。
仕組み債を販売して、金融庁に目を付けられている地銀、その地銀が裏で自己資金を運用しているのが「仕組みローン」だとは。


みなさま「仕組み債」と「仕組みローン」の最大の違いは何だと思われますか?
簡単ですわね。「債券」か「ローン」か、ということ。


地銀にとって、「債券」ではなく「ローン」に投資をするということは
運用商品としての時価の変動をPLにもBSにも反映しなくていいということになります。
つまりずっと「簿価」で計上できる。(ローンの借り手に破綻懸念がでてきたら別ですが)


それでいながら「仕組み」をつけて、つまり、オプションの売りをすることによって高くなっているローン金利は「利子収入」としてPL計上できるわけ。


そしてそのローンの借り手は、銀行。金融機関よ。
主に、この商品は外資系の銀行系証券が販売しているのだと思われます。


仕組みローンは、仕組み債と同じく、オプション等のデリバティブの売りがはいっているわけですが、
①そのオプションがそもそもその辺に売っているものではなく、オプション売りをしている地銀には、値段がわからない
②ローンの借り手である(外資系)銀行の、資金調達コストがわからない。

このため、ぼられ放題になります。


このあたりの細かいことは以前ブログでご説明したとおり。

なぜこの証券マンがもうかったのかというと、
たくさん売れた
というのもあるでしょうけど、
そもそも値段が見えないので、
仕組みローン=「儲け」が非常に大きい商品
だということがいえるでしょう。


値段が見えないオプション売りはリスクが非常に大きい上、ぼられている・・・
ということを
地銀はまったくわからない
からこそ、仕組み債を販売したり、自分が仕組みローンを買ったりしているんでしょうね。


地銀の業(ごう)を感じます。
金融庁が気づくのは、まだまだ先でしょうねえ。


みなさま、値段の見えないオプション売りだけはしないでね。
それではごきげんよう。

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