マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋ー お金のこと61 仕組債のしくみ

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら。


最近こんな記事がでましたわね。

金融庁が、仕組債の手数料の開示義務を課すんですって。


仕組債の「手数料」って何を指しているのかしら。
あまりにばくぜんとしている、と、仕組債を数年間作って、ぼろもうけをしていた私は思うの。


例えると、なんていうのかしら、ニンジン、ジャガイモ、ぶたにく、ルー、ごはんを使って、カレーライスを作って1000円とかで売る感じ?


ニンジンにも、ジャガイモにも、豚肉、ルー、ごはんそれぞれに、利益が乗っているわよね。
そして、家賃や、料理人のお給料も加味して、1000円になる。


どのあたりを、手数料っていうのかしらね。


仕組債には、「手数料」は定義されていないのよ。



単純な例として、実際の仕組み債をみてみましょう。

こちら、あおぞら証券が販売している仕組債。三井住友信託銀行の、信託口座から発行された債券。だから、三井住友信託の「信用力」はあまり関係ないわね。


信託口座の中には、あおぞら銀行の預金(債権)がはいっています。三井住友銀行の信用力は関係ありません。三井住友銀行は、この「資産=あおぞら銀行預金」を保全するだけの役目です。


スキーム図はこんな感じ(すべてHPで公開されているので、ぜひ見てみて)



わかるかしら、この仕組み債を販売することで、あおぞら銀行が得られる収益が。


こまかく言えば、いろいろあるのですが、この一番下の、
「デリバティブ契約」
というのが一番の肝。


どんなデリバティブ契約がはいっているかというと、
ノックイン:2022年11月29日の日経225株価の55%(来週!)
これが、2024年12月2日までに1回でも、ちょっとでも起こった場合、
償還金額は、償還時(20214年12月2日)の日経225株価の水準によって、払われます。


つまり、2022年11月29日の日経225株価が3万円で、今後2年間のあいだに一度でも1万6500円にかすったら、償還金額は償還時の株価になる。



仮に、今後日経平均がさがり続けた場合、さらに2024年12月2日の日経平均が1万5000円になっていた場合、
もしこの仕組債を100万円購入していたら、償還額は50万円になります。


ちょっと専門的にいうと、NK225 55%ノックイン、2年後プットオプションを、仕組債購入者は売っているということ。
売っているんだから「売値/対価」があるわけじゃない?


その売っている「価格」がいくらかわからない。
その売っている「価格」つまり対価として、2.5%という高いクーポンがついているのですが、ここで、ぼられてるのよ。
本当はもっと高いクーポンをもらってしかるべき。
でも、個人には価格が見えない・・・・


もともと「あおぞら銀行発行仕組債」にしてもいいものを、「預金」を担保にして信託社債にするところが、なかなかだわ、とマリーは思ってしまいます。
どの銀行も預金がいっぱい集まって、運用先がなくて困ってるものね。
頭がいいご担当者がいるのね、きっと。


担保にするものは、日本国債とか社債にしているケースもあるかもね。


だって、預金がたくさんあって、それを融資に回すのもかなりの手間だし、こうやって利用して収益をかせげれば、ばんばんざいよ!


仕組債=オプションを売っている
オプションの売り=無限の損失の可能性がある


これを忘れないでね。


でもねえ、金融庁が価格を計算できはしない、とわたしは思うの。
この規制も形骸化するかもね。


みなさま、仕組債には近づかないで。
近づくなら、オプションの計算ができる専門家と一緒にお話をきいて。
というか、仕組債を買うくらいなら、普通の社債とデリバティブをバラバラに買えばいいのよ。
そうしたら「価格」がわかるわ。


ちょっと難しかったかしら。
もっとやさしく説明する方法を考えるわ。


みなさまごきげんよう。

×

非ログインユーザーとして返信する