マリーの部屋

人々の幸せを願うマリーが、投資、資産運用、キャリア、受験、子育て、金融について語ります。金融機関勤務25年超。東京大学経済学部卒。

マリーの部屋 ー お金のはなし㉛ 債券の価値2300兆円下落!?

みなさまごきげんよう。
お元気でお過ごしかしら?


昨日の日経新聞にこんな記事が出ておりましたね。
7月19日(火)の朝刊の一面です。

うわあ、債券やば!
と思った方が少なからずいらっしゃったかと思います。


まったく、やばくありません。
債券は満期がくるまで、決められた利子(クーポン)が支払われ、満期に100が返ってくるだけです。
それは、今でも、何も変わっていません。


債券と株の「時価」の意味は全く違いますの。


この記事は、単に、
「計算上、債券価格が下がった」
ということを言っているだけです。
そして、債券市場は膨大な大きさなので(なんといっても、株と違って、企業だけではなく「国」が発行している世界)、その総額がおっきくなってしまった、というだけです。


元本が毀損したわけでも、利子(クーポン)の支払いが止まったわけではありません。


株も債券も、上がったら売って、下がったら買う、みたいにトレーディングして短期的にかせぐ(同じくらいの確率で損する)という性質は同じよ。


でもずっと持っていたらどうでしょうか?


株を長期保有する収益=配当
債券を長期保有する収益=利子


そしてね、ここが大きく違うのですが、
多くの場合、債券の利子は、あらかじめ決まっています。変動金利もあるけど、そんな大きくぶれません。


一方株は、企業にもよりますけど、配当は上下しますわよね。


そして、株は売却することによって、投資したお金をとりもどす。その時の時価で、売却するしか、購入金額をとりもどす手段はありません。
一方で、債券は満期で自動的に100で償還する。


債券は、額面と同じ金額で償還します。


つまり、
株から得られるキャッシュフロー=毎年の配当+売却時の価格


債券から得られるキャッシュフロー=あらかじめ決まった利率+100(元本)


債券って、プロの世界において、英語でなんて言うかご存じ?
Fixed Income
(決まった収入)


株と違って、保有することによって得られる金額は、ほぼ、あらかじめきまっているのです。


最初の日経の記事に戻りましょう。
日経の記事は、
債券の利子(クーポン)が下がった、とか、元本が毀損した、という話ではないのです。


単に、今の金利で「計算」すると、
すでに発行された債券の利率は(低金利により)低めだから計算上時価が低くなった
というだけの話。


それをこんなに、あおるような記事が一面に出るなんて、
債券が危ない投資みたいに思えるじゃない?
違うわ。


債券は、返済順位の上位にある、決められた期日に100をお返しし、その間、決められた利率を払う金融商品。融資と一緒といえば、わかりやすいかしら。


わたくし、新卒の時からFixed Income Department(債券部)にいましたので、債券は大好きよ。
あしもとでも、US Treasury Stripsの2年もの、10年物、それから借り換えリスクが小さくなったので、US MortgageのETFを購入しました。


みなさまも、株だけではなく、ぜひ債券に分散投資されてくださいね。


それではごきげんよう。


(先日行ったゴルフ。せっかく100切りしたのに、またへたくそに戻ったので、ブログを書くのはやめたわ。太平洋クラブ 美野里。おいしかった冷やし担々麺!)

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