スナックまりー それはあなたの仕事じゃない
いらっしゃーい。
こんばんは。
お久しぶり。お元気だった?
今日は何からはじめる?
あなたワイン派だったわね。スペインのおいしい白を開けたの。飲んでみる?
なんか浮かない顔しちゃって。
え?転職が決まりそう?
おめでとう!!!
この一杯、あたしからごちそうするわ。
それなのに、なんで浮かない顔しているのよ。
・・・なるほどねえ、自分が抜けたら、今のチームが困るだろう、ってことを心配しているのね。
あたし、以前外資系の証券会社で働いていた時、当然、人の出入りがけっこうあるわけ。だから誰か転職しても驚きはしないんだけど、あるとき「この人は辞めないだろうな」と思っていた人がやめたの。
周りから大切にされていたし、チームヘッドだったし。やりての女性先輩だったの。
あたし、思わず言っちゃったわ。
「どうして辞めるんですか?●●先輩がいなくなった後、チームはどうなるんですか」
彼女はすぐ答えたわ。
「辞める理由はいろいろあるけど、こんどゆっくりね。私が抜けた後どうするかを考えるのは、上司の仕事。私の仕事じゃない」って。
確かに。
外資系ではとくに、上司は常に優秀な部下が辞めないか注意深く見ているし、辞めた場合の対応を考えている。
そして、本当に上の、部門長のような立場の人は、自分が辞めたりリストラされてもちゃんと部署が回るよう、No.2を決めておくことが義務付けられている。
そう、あなたは辞めた後のことを心配するのは自由だけど、どうにかしなきゃいけない責任があるのは、あなたの上司なのよ。
せっかく行きたかった会社から内定もらったんでしょ?
自分の責任でもないことで悩んで、せっかくのチャンスを棒に振るのはやめて。
それはあなたの仕事じゃないわ。
ちょっとは気が晴れたかしら。
引継ぎはちゃんとするのよ。
ワインおいしかったでしょ。
次は何にする?